墓じまいはとは何か(禅寺僧侶による解説)

この記事は禅寺僧侶の立場から、墓じまいについて解説します。

墓じまいとは何か

墓じまい、とは墓石を撤去し、更地に戻す作業なにります。作業自体は、以下のようになりますが、墓じまい後お骨はどうするのか、供養はどうするのか等を含めて全体像を持って進めることが肝要になります。

・墓石撤去:墓石を取り外す・外柵や土台を撤去する・墓地を更地に戻す・墓地管理者へ区画を返す

・遺骨を移転する:お墓の中に納められている遺骨を取り出し、次のような供養先へ移します。
 *永代供養墓・納骨堂・樹木葬・別のお墓・海洋散骨

・改葬との違い:改葬とは、すでに墓地や納骨堂に納められている遺骨を、別の墓地や納骨堂へ移すことです。
 一方、墓じまいは、今あるお墓を閉じ、墓石を撤去し、墓地を返すことまで含む広い言葉です。
 *なお、遺骨を別の場所へ移す場合は、市区町村長の改葬許可が必要です。
  厚生労働省も、埋葬・火葬・改葬には市町村長の許可が必要と説明しています。

・墓じまいの法要:墓じまい後、お骨の場所はどうるのか等方針を明確にして、その方針に沿った何らかの
 お経を伴った法要は必要かと思います。菩提寺等に御相談ください。

なぜ墓じまいが増えているのか

大きく要約すると、お墓を見る人がいなくなっていることによります。永代供養の記事でも書きましたが以下のような状況があります。

土地や建物が重要な資産であった時代(一昔前)、多くの家は、田畑で作物を作り生計を立てていました。土地や建物が生産物を生み出す重要な拠点でした。つい50年前まではそのような雰囲気はまだ残っていたと思います。そのことを前提に、家を継いだ者が先祖から受け継いだ家・土地等の財産を引継ぎ(また、お墓の管理も引継ぎ)先祖を供養していく循環が安定的に機能していました。

時は流れて現代、インフラの進化や技術の発展に伴い、大量生産の進展や遠くからでも品質を保ったままものを運ぶことができるようになりました。お金があればその場所で土地から生産物(一昔前であればコメや野菜等)を得る必要がなくなりました。それらのことに伴い知識労働者社会へと社会構造も変わりました。その中で資産が土地建物等から自分自身へと移行しました。
自分自身が最も生産性を発揮できるところに自分を移動させて自分に最もフィットしている組織で働くことが、生活していくうえで最も有利な選択肢となりました。

さらに少子化、未婚化、核家族化等の進展で、急速に家を引き継いだものがお墓の管理も引き継ぐといったシステムが成り立たなくなっています。その結果、その結果、子孫の代わりにお寺が供養や管理を行う永代供養の需要が急速に増えています。

近頃、法事等で檀家さんのご自宅にお伺いすると、おじいさんかおばあさんどちらかお一人が1/3、おじいさんかおばあさんのみ1/3、何となく跡取りらしき人が居そうな家1/3、の割合かと思います。他のお寺に聞いてもこの比率は大体同じです。

墓じまいをすると供養は終わるのか

墓じまいをすることと、供養とは別問題です。墓じまいはお墓の管理が必要なくなり、将来的に荒れたり無縁簿になったりすることを防ぐ効果があります。
御位牌の記事でも書きましたが、御先祖様との窓口は、御位牌とお墓(納骨堂等を含む)の2つになります。墓じまいを行って納骨堂等に移すのであれば窓口機能は維持されますが、海洋散骨等を行った場合はお骨がある場所がなくなりますので窓口は一つ減ります。

墓じまい後の供養については、法事や寺院の各種法要(両彼岸、施餓鬼会等)でのお経を伴った供養、仏壇に手を合わせる・供物を供える・お花を供える、故人を想う、等、引き続き継続することにより、家運や子孫個々人の繁栄・発展に大きく寄与します。

墓じまいは一人だけの問題ではなく、家族や親族との関わりの中で行われるものです。

後から行き違いによる嫌な思いがないように、関係する方々と十分に話し合った上で選択することが大切でしょう。

まとめ

墓じまいとは、これまで守ってきたお墓を閉じることです。

墓石は撤去され、墓地は返還されます。

その意味では、墓じまいは確かに一つのお墓の終わりと言えるでしょう。

しかし、墓が終わることと、供養が終わることは同じではありません。

実際に墓じまいをされた方の多くは、その後も永代供養墓へお参りをしたり、自宅の仏壇に手を合わせたり、故人を偲ぶ時間を持ち続けています。

供養の形は変わります。

お墓から永代供養へ変わることもあれば、納骨堂や海洋散骨へ変わることもあります。

しかし、亡き人とのご縁がなくなるわけではありません。

私は、墓じまいとはご先祖様との関係を終わらせることではなく、これからの時代に合った供養の形へ移行することなのだと思っています。

大切なのは墓石をどうするのかということだけではなく、亡き人を想い、そのご縁を次の世代へどのようにつないでいくかを考えることではないでしょうか。

【御参考】
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・永代供養とは何か

-お墓と供養