海洋散骨という選択肢について(禅寺僧侶による解説)

この記事は禅寺僧侶の立場から、海洋散骨と供養について解説します。

海洋散骨とはどういうものか

海洋散骨とは、お骨を粉状にしたものを海に投じることを言います。お骨が骨と分かる形状が残っている場合、発見した方が事件性等を疑う事態になりかねませんので、粉状にする必要があります。お骨を粉状にする作業は、海洋散骨業者が通常実施することになります。

一般的な納骨の方法(墓地・納骨堂・永代供養)

一般的には、故人が亡くなられた翌日から起算して49日目に納骨を行います(実務上は多少前後することが多いです)。
・墓地に埋葬する場合は、一族のお墓にある骨壺の入り口を開けて、そこから納骨を行います
(納骨のお経等が読まれる場合があります)。
・納骨堂に埋葬する場合は、一族が借りている(または購入している)区画の骨壺の入り口を開けて、そこから納骨を行います
(納骨のお経等が読まれる場合があります)。
・永代供養の場合は、一般的に合葬墓または納骨堂(一族が借りている(または購入している)区画)に納骨を行います。
 合葬墓の場合は、大きなスペースに他のお骨とともに埋葬されることになります(次々に上からお骨が投入されるイメージ)。

海洋散骨は供養になるのか

よく納骨と供養が同じようなものとして語られることがありますが、まったく別の事柄になります。
供養は年忌や法要等で行われる故人へのお経を伴った(仏教の場合)祈り、及び故人に対して手を合わせる、想いを寄せること等であり、納骨は49日を区切りに故人があの世へ帰るために必要な実施項目になります。
基本的には、この49日の納骨以降、あの世に渡った故人に対する年忌や法要等でのお経を伴った祈り、及び故人に対して手を合わせる、想いを寄せること等が供養となります(仏壇にお花や供物を供えることも含む)。
では海洋散骨は供養に支障があるかということですが、支障はありません
海は霊的にはあの世につながっていいるため自然な形で大地に返るという形になります。その後の供養については、一般的な納骨とは異なる部分がありますので注意が必要です(後述)。

一般的な納骨との違い

お骨をお墓(合葬墓等含む)に納めるとそこが故人との連絡窓口になります。海洋散骨を行うとお墓はありませんので、窓口のひとつは無いということになります。
もうひとつの窓口は御位牌になります。あの世とこの世ですので表現は難しいですが、窓口では対面に近いコミュニケーションをとるイメージです。例えば、お盆は霊体があの世から戻って来られますが、お墓にお迎えに行くか、位牌のある家に戻りますので、お墓にお迎えに行かなければ、基本的に御位牌のない家には戻って来ません。海洋散骨を行った場合に御位牌を作っていない場合は、お盆等で戻ってくることはありません。
海洋散骨を行った、御位牌もないという場合は、対面のような形でコミュニケーションを取るような窓口はないということになります。
しかし、供養は届きます。供養はしっかり行って行きましょう。

良い点と考えておくべき点

海洋散骨の良い点としては、近年お墓をみる親族がいないため墓じまい等が話題に上ることが多くなっている中、お墓(納骨堂等含む)自体がありませんので、墓じまい等のある意味面倒なことを行わなくて良いというメリットがあります。これが恐らく最大のメリットです。お墓を作ってどこかの時点で粗末になるより、初めから持たない選択が一族にとって効果的な場合も考えられます。
但し、先祖が一体となってその場に連なっているという大きな流れの中でのコミュニティ感や安心感のようなものは得られないかもしれません。窓口も一つ減ります。

海洋散骨という選択

今後の一族の在り方を見据えた時に、海洋散骨は、十分に視野に入ってくる選択肢であると考えられます。供養さえしっかり行えば、御先祖様のパワーも増し、子孫も助力をもらえると思います。これからの一族のライフスタイルや人数等を勘案して御先祖の供養を決める選択肢が増えたと考えて頂ければいいのではないかと思います。
昔(土地や家が重要な資産であった時代)は、その土地の中で一族が暮らし、お墓(納骨堂等含む)を守って行くというスタイルがフィットしていたことと思います。時代は変わり個々人(自分自身)が資産の時代になりました。次の時代を考えてフラットに何が最善かを考えてみることは大変重要です。

このような方に向いている

自分が入るお墓(納骨堂等含む)は決まっていない、お墓(納骨堂等含む)を作っても今後みていく人が不明確、子孫に対しても面倒はかけたくない、お墓(納骨堂等含む)にお金をかけたくない、等の想いがあり、お墓(納骨堂等含む)を継続する、または、作ることは望まない、そのような(方の)場合は海洋散骨は意味のある選択肢になるかと思います。

まとめ

結論として、これからの時代、海洋散骨は十分選択肢のひとつに成り得るということが御理解頂けたのではないかと思います。
但し、年忌を含めた供養は御先祖様に対しても御自身を含めた子孫に対しても大変重要です。どのような体制が最も良いのかを考えて進めて頂ければ間違いはないのではないかと思います。

【御参考】
海洋散骨:シーセレモニー|小型クルーザーでの家族だけの海洋散骨
お花のお供え:暮らしに花をタスことで、タスかる人や花を増やしたい【花の定期便(タスハナ)】

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